見出し画像

IPアドレスと本人特定〜noteのIPアドレス漏洩

昭和生まれの人は覚えている方もいらっしゃるかと思いますが、昔は一般雑誌に「文通コーナー」があることが多く、そこに住所や名前など個人情報が堂々と掲載されていました。今となっては恐ろしいことですね。
時が経ち、現在はIPアドレスが「インターネット上の住所」と言われています。とすれば、IPアドレスがサイトに公開されるということは昔の文通コーナーと同じくサイト上に住所や名前が公開されることと同じだと言えるのでしょうか。
2020年にnoteがIPアドレスを漏洩し謝罪した出来事がありました。当時インターリンク代表がそのリスクについてブログに書いていましたので再掲したいと思います。

IPアドレスと本人特定〜noteのIPアドレス漏洩(2020年)


noteで著者のIPアドレスが見える状態だったということで、ちょっとした騒ぎになっています。

「note」で著名人IPアドレス漏えい サービス一時中断 「おわび」掲載(毎日新聞)

noteユーザーのIPアドレスが漏えい、運営会社が謝罪 有名人のIPアドレスと一致する5ちゃんねる投稿が検索される事態に(ITmedia)

noteユーザーのIPアドレス漏えい ネットで特定祭、断定には法的リスクも(livedoor NEWS)

noteで著名人がブログを書く

   ↓

書いているときのIPアドレスが見える状態だった

   ↓

そのIPアドレスと同じIPアドレスで、自作自演や他者への批判などがあったため、自作自演や他者への批判がその著名人の仕業ではないか、ということで、ネットで盛り上がっている

という状態です。

ここで問題になるのは、

同一IPアドレス = 同一人物 なのか?

ということです。

ほんの5〜6年前まで、

(ほぼ同じ時間帯であれば)同一IPアドレス = 同一人物

でした。時間帯が違えば、同一人物でもIPアドレスが変わることがあるので、ほぼ同じ時間帯であれば、という限定がつきます。

Twitterや掲示板での名誉毀損訴訟などでも、書き込んだ時間、何月何日何時何分何秒のIPアドレスについて、このIPアドレスの利用者の情報を開示せよ、という裁判所命令が当社のような小さな会社にもたまに来ます。

しかしながら近年は、IPoE接続と呼ばれる接続方式でのインターネット接続が非常に増加したため、IPアドレスだけでは特定が難しい場合が多くなっています。

IPoE接続とは、v6プラスとか、当社ではZOOT Nativeと呼んでいるようなサービスです。

これらのサービスは、

一つのIPアドレスを最大256人程度で共有するサービス

なのです。

ですから、IPアドレスが同じだからと言って、同一人物であるという可能性は、近年は減少している、と言えます。

(ちなみに、IPoEサービスを利用すれば、同じIPアドレスだから、悪いことをしてもわからないのか、というと、そんなことはありません。IPアドレス以外の情報も組み合わせて特定が可能です。)

この文章で私が言いたかったことは、

同一IPだから同一人物と短絡的に考えてはいけない

同一IPだから同一人物だと考えて、名誉毀損となるような発言をしないようにしましょう

ということでした。

(注)本文中、IPアドレスとはIPv4アドレスのことです。引用した各記事もそのような扱いだったため、合わせました。