4/6からYahoo! JAPANはEUやイギリスから閲覧不可となりました。
「医師団に 次いで越えます 国境の壁」というオタク川柳がありますが、世界で大規模な動員数を誇る日本オタクイベントの開催や、世界中の若者が国境を越えて日本のアニメや文化を知り国際交流ができるのは、インターネット普及の影響が大きいことは言うまでもありません。しかし現在、国際情勢でのインターネット規制や遮断なども起こり始めているようです。コロナで自由に渡航できない時代だからこそ、せめてインターネットの世界では国境を自由に超えて世界中の人々と繋がりたいものです。
以下、1995年にプロバイダー業務を開始したインターリンクの代表が現在の状況と心境を語っています。
2022年4月6日 (水)よりYahoo! JAPANは欧州経済領域(EEA)およびイギリスからご利用いただけなくなります
というお知らせは2022年2月1日に発表されました。
Yahoo! JAPANページ内では、よくあるご質問の中で下記のように「欧州経済領域(EEA)およびイギリスでサービス利用いただける環境を継続的に提供することが困難になったためです。」としています。
EEAとはEUに EFTA (欧州自由貿易連合)のノルウェー、アイスランド、リヒテンシュタインを含めた共同市場です。
はっきりとした理由が書いてありませんが、GDPR(EU一般データ保護規則)を順守することが難しいからであろう、というのが識者の見解で、私もそうであろうと思っています。
GDPRは、個人情報保護を厳しく規定したもので、EEA内で取得した情報をEEA域外へ移転することを原則認めず、違反した場合、莫大な罰金が課せられます。
わかりやすく言うと、フランスでAさんの個人情報(住所、氏名、クレジットカード番号など)を取得したら、それを日本で見てはいけないというようなこととお考えください。
実際に、莫大な罰金がこれまで課されています。
ドメイン業界では、2018年5月25日に対応しており、個人情報を出すといけないのであれば、出すのをやめよう、ということになりました。また、そのデータがEEA内で得たものか、そうでないかを判別することは手間もかかり面倒なので、「すべてのデータについて、GDPR違反になりそうなものは、表示しない」ということになっています。
これについては、2018年5月23日に私の下記エントリで解説しています。
EU一般データ保護規則の影響で、WHOISガードがいらなくなるかも、という話
Yahoo!JAPANの対応が今になってしまったのが、少し謎ではあります。最近のGDPR違反事例の中で、Yahoo!JAPANに似たようなものがあってYahoo! JAPAN法務部がサービス停止を求めたのか、それとも、EEAからYahoo!JAPANに何か問い合わせがあり、このままだと違反と認定されそうだと考えたのか、そのあたりはまったく想像の域を出ませんが、何がきっかけだったのか、知りたいところではあります。
1995年、私がインターネットを事業としてやろうと思ったのは、世界中の人がつながる場ができる、ということに、期待と高揚感を持ったからに他なりません。twitterで大量BANが行われたり、国際情勢でインターネット遮断が求められるなど、近年、インターネットが分断されつつあるように感じ、複雑な心境です。