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個人情報入りUSB紛失(というより持ち出し)と孫請け体質

パスワード予想が過熱して大喜利状態にまでなった尼崎市のUSB紛失事件はまだ記憶に新しいかと思います。直接紛失したのは市の業務を孫請けした会社の男性社員だったようですが、市は男性の所属先を把握していなかったと報道されました。長らく市のIT関連業務の中心として携わっていた男性が、実は「孫請け」とは思っていなかったのでしょうか。
インターリンク代表の横山がUSB紛失事件の要因と言える「IT業界の闇」構造とその解決方法について提案します。

兵庫県尼崎市で全市民46万人分の個人情報が入ったUSBを紛失した、というニュースがありました。

委託先社員が飲酒後に路上で寝込み、かばんごとなくした、ということです。

数日後にUSBは無事、発見されましたが、実は委託先社員ではなく、委託先が再委託した孫請けの会社の社員だったということです。


宮城県名取市は、個人データ持ち出しにGPS付き専用ケース 尼崎USB紛失受け名取市が導入を決めたそうです。

ケースに入れて持ち運び、ケースがどこにあるかわかる、というもので、1万円だそうです。GPS付きにしては安いと思って、記事中の写真をよく見ると、GPSではなく、AirTagがぶら下がっているように見えます。

iPhone ManiaのサイトでAirTag認定していました。

宮城県の自治体、個人情報持ち出し用ケースの紛失対策にAirTagを導入

AirTagはiPhoneのネットワークを使って、GPSと同じように使えますが、GPSではありません。AirTagの近くに誰でもいいので誰かのiPhoneがあれば、位置情報がわかる、というものです。

個人情報データを持ち出す、という前提であれば、こういう方法になるのでしょうが、そもそも持ち出すのがいけないと私は思います。


私も会社設立してまもない頃、孫請けをやったことがあります。

孫請けの場合、自分の会社名を出せません。常に、下請けもしくは元請けの会社名を名乗ります。嘘をついているようで、あまり気持ちのいいものではありません。名刺も用意されたりします。

また、元請け、下請けともに、管理費として、30%くらい抜かれます。つまり、孫請けに入る金額は、70% の 70% で 49%、ほぼ半分です。100万円の仕事が実際には50万円で行われるわけです。

この下請け、孫請け構造は、「IT業界の闇」と言われ、孫請けで安い賃金で作業するエンジニアは「IT土方」と呼ばれたりします。

コロナ接触確認アプリでも多重下請けが発覚し、再委託の割合が高すぎると問題になりました。

半分の金額で請け負っている孫請けの会社に、すべての作業とセキュリティ管理までさせてしまう、というのは、問題だと思います。

安い賃金で働くIT土方達が、労働に見合った賃金をもらえて、他社の名刺など出さず、自社の名刺を出してプライドをもって働けるようにしてあげられたら、日本の生産性がかなりあがるのではないでしょうか?

そのためには、

1)委託、再委託は内容をすべて発注者に伝える

2)下請け、孫請けは、受託した案件を、ホームページなどで公開してよいものとする(今後、直接発注もあり得る)

あたりをぜひやってほしいと思います。

みんなにも読んでほしいですか?

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