AIは、なぜ第45回日本アカデミー賞を外してしまったのか
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AIは、なぜ第45回日本アカデミー賞を外してしまったのか

株式会社インターリンク

学生時代のバイト先でミスをしたとき「なぜこんなことをした?」と店長に聞かれ理由を説明すると「言い訳するなー!」と一蹴され、なぜと聞かれたので答えたその「理由」と「言い訳」にはどのような違いがあるのかわからず困惑したことがありました。
さて今回AIが第45回日本アカデミー賞の予測を誤ってしまったのはなぜでしょうか?私なら負の連鎖で「言い訳するなー!」と言ってしまいそうですが、優しいインターリンクの社長はAIの肩をもってその理由を丁寧に解説しています。

AIは、なぜ第45回日本アカデミー賞を外してしまったのか

2022年3月11日、日本アカデミー賞最優秀賞が発表され、「ドライブマイカー」が最優秀作品賞を受賞しました。

3月9日の日記に書きましたが、インターンシップの学生さんたちが作ったAIは、「ドライブ・マイ・カー」を次点、「孤狼の血 LEVEL2」を最優秀賞と予想していました。

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AIの予想結果を聞いたときに、私は、

「ずいぶんと、アバンギャルドな予想をしたね」

と言いました。あまり映画に詳しくない私でも、「ドライブ・マイ・カー」が日本映画で初の米国アカデミー賞作品賞にノミネートされるなど、高い評価を得ていたのを知っていたからです。

参考:
『ドライブ・マイ・カー』がアメリカの映画賞を総なめしているワケ

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さて、AIがもっとも苦手な分野はなんでしょうか?

それは、「これまでに経験したことのないこと」です。

もう30年以上前、私が大学院生でAIの研究をしていたころの話です。中学生の塾の講師もしていました。そのとき、生徒の一人が、AIってどんなもの?と聞いてきたので、ちょっと準備をして見せました。何を見せたかというと、じゃんけん対決をするAIです。

「挑戦する人」というと、たくさん手があがったので、その中の一人を指名します。

「最初の10回は練習ね」と言って、まず10回じゃんけんをさせます。

10回終わったら、「これからが本番」と言って、じゃんけん10番勝負をさせるのです。

勝率8割くらいでAIが勝ちました。私は多分勝ち誇った表情で、「これがAIだよ(エヘン)」というようなことを言ったはずです。

すると、教室は静まり返ります。その静寂をやぶって

「次は僕が挑戦します」と言ってきた子がいました。

「(またカモがきた)うん、いいよ」と言って、同じように、「最初の10回は練習ね」と言ってはじめます。

すると、その子は、「グー」を10回出し続けたのです!

本番に入ります。その子は、もちろん「グー」以外も出してきます。AIはボロ負けでした。

このように、AIというものは、過去にあった事象から法則を導き出すので、過去になかった事象においては、まったく役に立ちません。

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さて、「ドライブ・マイ・カー」に話を戻します。

この映画は、実は、特に出だしの興行成績は非常に悪かったのです。「孤狼の血 LEVEL2」と比較してみましょう。

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(*注 データはすべて kenken-movie.comより)


このように、「ドライブ・マイ・カー」はかなり特殊な動きをしていたのがおわかりになるかと思います。

つまり、AIとしては、「ドライブ・マイ・カー」は、さきほどの「グー」を出し続けた中学生同様、初めて見るタイプだったと言えるのです。このような初めての事象に対して、AIはとても弱いので、今回外したのは致し方ないことです。次点に予想していたということは、それなりに頑張ったと言えます。

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と、かなりAIの肩を持ちました(笑)。負け惜しみに聴こえるかもしれませんが、その通りです(笑)。

さて、30年以上前にもう一度、時間を戻します。

AIがボロ負けした後、私はこう言いました。

「AIは学習したことには強いけれど、学習してないことには弱い。最初の10回で、相手のじゃんけんの癖を学習するようにしていたので、グーを出し続けられたことで、AIは相手がグーしか出さないと覚えてしまった。AIの弱点をうまくついた、〇〇君に拍手」

などと言って、生徒をほめつつ、自分の負けを素直に認めない負け惜しみともとれる発言をしたのでした。

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