映像化協会のようなもの〜「セクシー田中さん問題」で考えたこと
「実写化は やめてとあれほど 言ったのに」と、第5回オタク川柳の4位入選作品にもあるように、原作ファンにとって思い入れのある大切な漫画作品が実写化される場合、その世界観が壊されることを大変懸念します。もちろん実写化が成功した作品も多くあるとは思いますが、ファンにとっては譲れないものもあります。まして原作者にとっては尚のことでしょう。
「セクシー田中さん問題」では多くの人が心を痛めていますが、様々な立場の人たちがただ対立するばかりではなく、今後の映像化に関して解決策はないのか、長くビジネスをしてきた者の視点でインターリンク社長が考えました。
映像化協会のようなもの〜「セクシー田中さん問題」で考えたこと
漫画家・芦原妃名子さんが急逝しましたが、その原因が、彼女の代表作『セクシー田中さん』のドラマ化に伴うトラブルではないかと議論が起きています。
さまざまな立場の人が、ある人は原作者の立場から、あるいは、脚本家の立場から、あるいは、視聴者の立場からコメントをされています。
私はここで、ビジネスをしてきた者の視点で、こうしたらいいのでは?と思ったことを書かせていただきたいと思います。
原作者が映像化を許諾する際、条件を出しますが、ほぼ口約束のようです。
そこで、契約書を弁護士が確認すれば良い、という意見もあるようですが、契約上微妙な案件や、守られなかった場合どうなるか、あるいは、契約上書かれていないことが出てくるなどもあり得ます。弁護士は、契約書だけではなく、その後もフォローすることが必要だと考えます。そうすることで、原作者はこういう煩わしい交渉ごとから解放されます。
ただ、弁護士を選定して、完成までのフォローを原作者の費用で契約をする、というのもなかなか難しいように思えます。
そこで、それを仲介する団体があればいいのではないかと考えました。
名称はたとえば、「映像化協会」で、映像化したい場合は、まずここに話をすると、協会から原作者に連絡が行き、許諾する場合は、協会が弁護士を紹介して、費用は映像化を希望する団体が負担する、というような。
私は子供のころ、NHK「国盗り物語」を見て、感動し、司馬遼太郎の原作を読みました。Wikipediaを見ると、
「司馬遼太郎の同名小説『国盗り物語』を核に、司馬の『新史太閤記』『功名が辻』『尻啖え孫市』『梟の城』などを合わせて[1]、大野靖子が脚色した。」
とあります。脚色されてたのか?!と今更ながら驚きました。原作との違いも気づきませんでした。
テレビドラマにする場合、時間の関係もあり、すべての台詞を入れることはできないでしょうし、場合によっては、人物や場面をバッサリ削除することもあるのでしょう。実際、私が今、アマゾンPrimeで見ている「ターミナル・リスト」は原作とかなり違っているようです。
著作権が切れていますが、シェークスピアの演劇は、巨匠から、それこそ大学の演劇サークルまで新解釈などと銘打って、かなりの改変をしたりしていますよね。
そういったことも含め、私は原作改変は許容してあげてほしいと思う方なのですが、改変してほしくない、という原作者の意向も尊重すべきと考えています。
一つだけ言えることは、
私が大好きだったNHK「国盗り物語」のことを
司馬遼太郎さんはまったく、気に入らなかった、
と、もし、言われたら、なんとも悲しい気持ちになっただろうな、ということです。
そのようなことがないようにしてほしいと切に願うばかりです。
できれば、
司馬遼太郎さんは、NHK「国盗り物語」を
とても気に入っていた、
と言ってほしいなと思います。